エシカルなひと、もの、ことインタビュー < SAVON de SIESTA( サボンデシエスタ )さん>
自然素材の手作り石鹸やフェアトレードのオイルなど「顔の見えるものづくり」を大事にしています
自然素材のみを使用した手作り石鹸やスキンケア用品・日用品などを製造販売するSAVON de SIESTA( サボンデシエスタ )の附柴 彩子さんにインタビュー。
自分が使っていて心地良くて、人にも喜ばれる。そんな石鹸が作りたいと思い、始めました
―2017年8月で12周年ということですが、そもそも石鹸専門店をきっかけは
「大学院時代のことですが、ある化粧品を使ったら肌が荒れてしまったんです。それから化粧品の裏にある成分表示をみるようになったんですよね。私は理学部だったので、成分を見ればどのようなものか分かったのですが、入らなくてよい成分も多く含まれてました。それらの成分、例えば防腐剤などは、流通させるためには必要なのかなとも思いましたが、自分で使うものは、もっとシンプルで肌に合うものを使いたいと思ったんです。」
―実体験から疑問を持ち始めたのですね。
「もともとお菓子作りが好きで(それが科学の実験好きにも繋がったんです)、よく本屋さんで本をチェックしたりしていたのですが、ある時、石鹸づくりの本を見つけたんですよね。面白そうと思って、みんなを呼んで『石鹸をつくる会』を開いたんです。それがすごく面白くて。『石鹸づくりってなんて面白いんだろう!』って感動しました。」
―お菓子作りや化学の実験にも似ているところがありそうですね。
「そうなんです!そしてその頃、ちょうど将来の就職先を探していたのですが、研究だけをして部屋にこもっているより、人と話すのも好きだったので、人と会う仕事がしたいなと思っていて悩んでいた時期で…。大学院を辞めようかなと思って休学もしていたんですよね。そんな時に石鹸に出会って、『石鹸屋になろう!』と決めました。」
―すごい!大学院時代に決めたのですね!
「芯に落ちたんですよね。これだって思いました。自分が使っていて気持ち良いし、人に届けても喜ばれる。『自分で作ったものを届けるのはこんなに楽しいんだ』って思ったんです。」
―それからすぐに石鹸屋を始めたのですか?
「まずは製薬会社に就職し、薬事法を学びました。2005年、結婚を機に札幌に戻り、化粧品の製造販売をする許可を取得後、創業。今は主人もSAVON de SIESTAの会長ですが、最初は私一人で始めました。当初はwebショップだけでやっていこうと思っていたのですが、段々お客様が増えていって一人だと手が回らなくなったんですよね。それで主人が経営する会社の一部門になり、2011年にはそこから独立し、会社設立しました。」
大好きな北海道産の素材を取り入れ、伝統的な製法で丁寧に作られた手作り石鹸です
―SAVON de SIESTAさんの石鹸は、一切加熱することなく、化学反応の熱のみで原料を「けん化」する「コールドプロセス製法」で作られているのですね。
「コールドプロセス製法は、出荷できるまでに1か月以上かかるもので、手間も時間もかかります。ですので、創業当時はその製法で製造しているメーカーさんは全国でもそう多くありませんでした。実際、私がその方法で創業することを決めたときも、原料メーカーさんなど周りには『大変だからやめた方が良い』と助言してくださる方もいらっしゃいましたが、それでも『やるしかない』と思って始めました。やりたいことだったので、大変だと思ったことはありませんでした。」
―コールド製法で作るとどんな良いことがあるのですか
「コールドプロセス製法は、他の製法では取り除いてしまう保湿成分をそのまま石鹸の中に残し、また加熱しないので有効成分を壊さずに作ることができます。そのため保湿性に優れ、しっとり潤います。」
―そのほか、SAVON de SIESTAさんの石鹸の特徴を教えてください。
「成分が100パーセント分かるので安心感につながると思います。シンプルな自然素材なのを使用しています。また北海道で作るんだったら北海道のものを使いたいと思っていて、あずきや白樺の蒸留水など北海道産のものをできるだけ使用しています」
―安心素材なので日常で使うのはもちろんのこと、道外の方へのギフトにもとても喜ばれそうですね。
「北海道が大好きで、その良さを伝えたいというのも創業理由の一つです。北海道の魅力をきゅっと詰め込んで、住んでいる人にも改めて気づくきっかけになればと思いますし、観光する人にも魅力を知ってもらえたらと思っています。」
実際に原料産地を訪ね、現地の方とともに、フェアトレードのモリンガオイルを開発しました。
―最近ではフェアトレードのモリンガオイルも開発したそうですね。
「『シエスタオイルセラム モリンガ』という商品です。モリンガオイルは、まずモノが良いと思って興味を持ったのですが、更にその背景がとても良くて。お取引先のオイルの商社の社長に『本当のモリンガを知るには現地に行かないとわからない』と言われて、実際に現地フィリピンに行ったんです。」
―フィリピンまで足を運んだのですね!
「社長が言う『モリンガの木の下で感じる幸福感』というものを実際に体験してみたいと思って決意しました。実際に現地に行ってみて、その幸福感は、環境や原料の素晴らしさだけでなく、関わる人たちの志や素晴らしい人柄があるからこそ感じられるのだなと思いました。そして、知らなかった現状も知りました。世界中でオイルが流行ると無理な方法でオイルを採ることになり、無計画な栽培や伐採をし、環境や労働者が犠牲になってしまうというような現状です。そのような状況を無くすべく、現地では協会(『イコロスモリンガ協会』)が立ち上がっており、SAVON de SIESTAも加盟しました。」
―流行の裏にある環境破壊や労働者の犠牲など、知られていない現状はたくさんありますよね…。
「フェアトレードって、『守ってあげる』というイメージがあって、実はあまり好きではなかったのですが、実際はそうではなくて、『一緒に同じ志をもっていいものを追及する』というものなのだと気づきました。現地の方も、『ちゃんとした値段で買ってくれるから高品質を維持して続けられる』と言っていました。そして笑顔になるんですよね。働いている人たちの自信に繋がって、働いている人たちが変わるんだなと思いました。今まで大切にしてきた『顔の見えるものづくり』を実現するために必要なことだと実感しました。」
―実際に現地に行ってみて気づくことはとても大きかったようですね。
「はい。そして、もの作りをするだけではなく、この取り組みを通して、次の世代が国際感覚を育てていけるお手伝いをできたらと感じています。例えば、日本の子どもたちをフィリピンに連れて行くことやフィリピンの子どもたちを呼ぶことなどができたら、もっと違う目で見られるんじゃないかなと思っています。そのようなことこそが、今の大人がすべきことだと思います」
―今後の目標はありますか
「SAVON de SIESTAに関わる人たち、みんなに笑顔を届けたいと思っています。お客様はもちろん、一緒に働いてくれているスタッフも、素敵な笑顔で働き続けられるようにしたいです。女性の働きやすさ、そこに対応してあげられるような会社にしていきたい。働ける人が輝けて、みんながやりたいことを応援したいです。そして、長期的には、未来につながる活動をしたいと思っています。自分たちの次の世代に良い環境を残したいですね。例えば、小さな子どもたちもお母さんと一緒にお店に来てくれるのですが、石鹸を作る工房を見てもらい、こういう仕事もあるんだなと知ってもらって仕事の選択肢の幅を増やせたらと思っています。」
―次世代を見据えた目標。素晴らしいですね!
幸せとは
―最後に、附柴さんにとって幸せとは
「一緒にいる人たちが笑顔でいること。周りに笑顔を届けられること。」
シエスタラボ
工房を併設し、オリジナル商品や毎日の暮らしを楽しんでいただけるモノ・コトをお届け
住所 札幌市中央区南1条西12丁目4-182 ASビル1F
電話番号 011-206-0710
営業時間 11:00-19:00
定休日 火曜
WEBサイト:http://at-siesta.com/
〇自然素材 〇環境へ配慮 〇フェアトレード
SAVON de SIESTA( サボンデシエスタ )
毎日の暮らしに、ココロがホッとするひとときを贈ります
<事業内容>
・化粧品の企画・開発・製造販売
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住所 札幌市中央区南1条西12丁目4-182 ASビル2F
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WEBサイト http://at-siesta.com/
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