エシカルなひと、もの、ことインタビュー<オーガニックカフェ 青い空流れる雲さん>
同じものは二度とない…常に変化し続けてきました
「青い空流れる雲」店主の富永岳洋さんにインタビュー。
自分が経験・実践してきたことをもとにお店をオープン
―もうすぐ17年を迎えるお店。きっかけは
「もともと20代半ばまで会社勤めをしていたんですが、何か自分で商売をしたいと思ってたんですよね。食べることや料理することが好きだったので、飲食店をやろうと思っていました。中でも自分自身が毎日食べて生活できるようなものがいいなと思ったんです。」
―自分自身が毎日食べられるものをベースに考えたのですね。
「会社を辞めたあと、沖縄の離島に住んだり海外でヒッピー的な生活をしていく中で、都会に住む人と田舎に住む人の顔つき、生活様式、言葉遣いが全然違うことに気が付いたんです。例えばインドネシアでは、都会では屋台が多く、添加物やジャンクフードばかりでした。田舎ではとれた野菜を収穫して食べるという生活でしたが、表情や性格も全然違っていましたね。田舎の人は本当に穏やかで、こっちの方がいいなと感じました。その経験から『食べ物が大事』なんだと気づき、書籍を読んで情報を集めました。当時はインターネットがない時代でしたからね。そこでマクロビオティックの創始者桜沢如一さんの本にたどり着いて、その中に『食事だけが運命を変えることができる』という言葉があったんです。それで変えてみよう!と思ったんですよ。最初は自分が楽しむために始めたって感じかな。」
―自分自身が実践してみて、やはり変わりましたか?
「いろんなのを食べなくても大丈夫になりましたし、皮膚病が治ったんです。以前から、自分の身体にもアトピーのような症状が出てきていました。日本でもジャンクフードや添加物の入った食べ物が流行り、僕自身も以前は食べていましたからその影響だったんだと思います。それで、これは需要がある!と思って35歳の時にお店を始めました。」
―オープン当初はマクロビオティックという言葉や添加物、動物性のものを使わない食事法はほとんど浸透していなかったのではないですか
「全然知られていませんでした。始めた当初は周りから『変なこと始めたぞ』とかいろいろ言われましたね(笑)でもそういっていた彼らも今では『早かったんだね』と言ってくれています。」
―お客さんの反応はどうでしたか
「アレルギーの人や宗教上の理由で動物性のものを食べられない人、菜食主義の人、菜食が趣味の人などいろんな人に喜んでいただけました。『こんな店があってほしかった』とか『生まれて初めてアイスクリーム(当店は豆乳が原料)を食べられて嬉しい』など、本当に感激してくれることもたくさんありました」
―それはとても嬉しいですね。最近では当時と比べて(添加物、動物性のものを使わない食事に)興味を持つ方はかなり増えていますか?
「そうですね。当時が3%くらいだとすると現在は18%くらいまでになっているのではないでしょうか。まだまだ知られていないですけどね。」
ゆずらない部分はある。だけどこだわらないことにこだわっている。
―お店のこだわりは
「こだわらないことにこだわっています。いいなと思ったら取り入れていきます。自分のフィーリングを大事にしていますね。」
―そうなんですか!? それでも、食材の基準や基本としていることはありますよね。
「ゆずらないところは、『添加物を使わない』というところと『動物性のものは一切使わない』ということです。動物性のものを使わないのはその方が楽で気持ちがいいからです。もちろん動物の命を犠牲にしたくないということもありますね。」
―野菜も有機栽培ものを使っていますね
「有機栽培だけでなく、特に自然栽培の野菜を使っています。自然栽培は、肥料を使っていない自然の栽培です。有機栽培の場合は、有機肥料を使っていたり、農薬も基準を満たせば使っているので、自然栽培の方がより安心できます。ニセコの友達がやっている自然栽培の農家でとれたものを中心に仕入れています」
―なるほど、有機だけでも安心できないんですね…
「そうですね。『オーガニック』や『有機』はビジネスワードになってきているところもありますよね。そこに落とし穴があります。」
―自分の目で見極める判断力が必要となってきますね。
同じものは二度とない。常に変わり続けています
―17年の間にお店として、または富永さん自身が変わったことはありますか
「常に変わっています。『同じものは二度とない』これは店名の由来でもありますが、本当に同じものは二度となく、常に変化しています。その結果、『相変わらず美味しいね』と言われたりします。僕自身は、食べることにあまり興味がなくなってきたんですよね」
―え!?
「ゆくゆくは不食の人になりたいと思っています。なので、僕個人としては将来的には居心地のよい場所で最低限の暮らしをしたいなと思っています。だからこのお店は、将来、誰か根性と体力がある人に任せるかもしれません。その方がもっといいお店になるかもしれないと思っています。」
―驚きました。…でもまた新たな方に伝えてつなげていくのもいいことかもしれませんね。
変えてみて気持ちよかったら取り入れる、その繰り返し
―『エシカル』という言葉についてはどう思いますか
「倫理的、という言葉なので、本来は当たり前のことですよね。でも今は、衣食住すべてにおいて利益・効率に基づいて消費させられている。コンビニエンスな経済に組み込まれていますね。そんな消費に疑問を持つことからですね。ひとつ変えてみて気持ちよかったら取り入れて、その繰り返しでどんどん変えていけたらいいですよね。」
―食の観点から言うと
「まずは調味料から変えるのがいいと思います。みそ、塩、醤油、油ですね。美味しさがわかるとこっちの方がいいという風になってくると思います。」
幸せとは
―ありがとうございます。それでは最後に、富永さんにとって幸せとは
「どんな瞬間にも幸せの種はある。『常にあるもの』だと思います。辛い時にも幸せのひとつはある。幸せは『感じるもの』ですね。」
富永さんの言葉からは名言がたくさん。深い洞察力と見識から来る言葉がとても心に残りますね。
オーガニック カフェ 青い空 流れる雲
身体が喜ぶ食材を使ったオーガニックカフェ
住所 札幌市中央区南1条西22丁目1-7 裏参道ルーム22・1F
電話番号 011-623-3887
定休日 不定休
営業時間 11:00~18:00(夜営業は予約のみ。お問合せください)
ネットショップ https://aoisorasapporo.stores.jp/
○有機・オーガニック ○ヴィーガン