エシカルなひと、もの、ことインタビュー< 粋ラボラトリー (嬉楽 株式会社)さん>
オーガニックを知ることはいのちの大切さを知ること。多くの方に伝えていきたい
人と地球が喜ぶオーガニック居酒屋「 粋ラボラトリー 」代表の石田香織さんにインタビュー
始まりはゴミ拾い。「拾っているのはゴミだけじゃない」ということに気づきました
―オーガニック居酒屋をオープンしたきっかけを伺いたいと思いますが、まずはオーガニックに興味をもったきっかけから教えてください。
「17歳の時に、オーストラリアでは外に長時間いると皮膚病になってしまうから外に出る時間が決められているという内容のテレビ番組を観て、衝撃を受けたんです。私は外で音楽を聴くことが大好きだったので、このままだと大人になったら外で音楽が聞けないんじゃないかと不安になったんですよね。そこから環境問題を意識するようになりました。でも、知識もなければお金もない状態。何をしたらいいかわかりませんでした。だからまずはゴミ拾いから始めたんですよね。」
-始まりはゴミ拾いだったのですね。
「最初は、ゴミ拾いは自分とはかけ離れたものだと思っていたのですが、ゴミ拾いをしていると、拾っているのはゴミだけじゃないということに気づけたんです。今日は花がキレイだなというような小さな幸せを感じることもできたし、周りの人も一緒に手伝ってくれるようになって、人との出会いも拾ったなって。」
―ゴミだけではなく素敵なものをたくさん拾えたのですね。
「それからゴミ拾いをしていくうちに、落ちているゴミは拾えるけど、ゴミはゴミとして存在していて、根本的な解決にはならないなと思うようになっていったんです。そこから環境を守っていくことや植林活動、食べ残しの問題などを考えるようになって。調べていくと流通している食べ物の1/3は食べ残しになっていることも分かって、これって超ムダじゃん!って(笑)」
食べ残しや環境汚染を減らしたいということがオーガニックに興味をもつきっかけに
―そこから食への興味が高まったのですね。
「食べ残しを減らすためのフードマイレージや農業と環境汚染の問題について学んでいきました。学んでいく上で農薬や化学肥料を使わずに育てることができる有機栽培や自然栽培のことを知って、オーガニックいいじゃん!という考えになったんです。これはもっと広く知ってもらいたいと思って、最初はオーガニックのものを扱ったイベントを開催したり時々カフェを開いたりしていました。でもその頃はアルバイトをしながらでしたね。だんだん、ボランティアのためにバイトするのにも矛盾を感じてきて、自分たちでごはんが食べられて問題解決ができることを考えていくようになったんです。それで『オーガニックの飲食店をやろう』ということに」
―オーガニック居酒屋というのは珍しいですが、居酒屋という形式にした理由は
「たまたま入ったらオーガニック料理が出てきたというように、オーガニックの敷居を低くするために居酒屋という形であり、気軽に来れるようにと街中にオープンしました。」
―確かに、居酒屋だと気軽に入れますね。最初は何人でオープンしたのですか
「立ち上げメンバーは3人。ボランティア仲間でした。飲食店をやりたいって言ったら集まってくれて。」
―同じ思いだからこそ素敵なお店になったのですね。今年(2017年)で何年目ですか?
「今は7年目です。オープン当初はオーガニックという言葉が全然浸透していなかったんですが、ここ1~2年で急激に浸透してきましたね。当初このお店は、オーガニックって何?って人に知ってもらうためのものでしたが、最近はオーガニックを好んで選択する人の来店が増えましたね。」
オーガニックは、全ての生き物たちが健康でいられるスタイル。
―オーガニックが浸透してきているのですね。粋ラボさんが考えるオーガニックの定義が素敵だなと感じました。
「オーガニックという言葉には、基準としてのものと、ライフスタイルとしての2つの意味があります。基準としては日本では有機JASマークがあり、その基準を満たしたものだけがオーガニック食品と呼べるという法律があります。ライフスタイルとしては、地球上に住む全ての生き物たちが健康でいられるスタイルがオーガニックであると信じています。」
―そのように解釈すると、自分にも社会に良い選択をして持続可能な社会を目指す『エシカル』と同じような意味合いだと感じます。
「そうですね。オーガニックであることで、地球といつまでも暮らして行ける持続可能な社会を実現することができると思っています。なのでエシカルとまさに同じような意味ですよね。最初は『オーガニックは美容に良い』とか『健康にいい』とか表面的なところから入ってもいいと思います。そこから温かさや人の手の込んだ想いを感じてほしいですね。」
―オーガニック以外の食に関するこだわりを教えてください。
「旬であること、生産者とできるだけ交流をとることを大事にしています。また、素材の力を信じて素材の魅力を引き出すような調理をしています。健康のため食べるというのではなくて、まずは食べて『美味しい』と感じていただけることが前提としてあります。」
―イベントも頻繁に開催されていますね
「知ったり学んだりする機会提供をしていきたいと思っています。年間30回ほどイベントを行っています」
―今後の目標や、やっていきたいことはありますか
「食だけでなくてライフスタイルの提案も行っていきたいと思っています。そして『教育』も。教育という言葉を使うのもおこがましいのですが、今でも大学や高校で講座を行っていて、いのちってすばらしいんだよということを伝えています。そのような活動をもっと増やしていけたらと思っています。私は今まで、22歳で起業したり24歳で通信制の高校を卒業したりと一般的な人生のレールからはずれて生きてきたと思いますが、こういう生き方もあるんだって知ってほしい。また、オーガニックを追及していると、この世界に不必要なものは何もなくて、みんなそれぞれ違う役割があるってことがわかるんです。それも伝えていきたいですね。そして『生きているだけでいいんだ』ということに気づいてくれたらいいですよね」
―最後に、石田さんが考える幸せとは
「幸せって外側にあるような感じに見えるけど、内側にあるんだということに気づくことでいつでも幸せでいられるかなって。生きているだけでも幸せですからね。」
粋ラボラトリー
人と地球が喜ぶオーガニック居酒屋
住所 札幌市中央区南1条西5丁目 豊川南一条ビル地下1F
電話番号 011-211-6145
営業時間 11:30〜15:00(土日限定)
17:00~22:00
定休日 月曜
WEBサイト:http://ikilab.com/
○有機・オーガニック ○無添加 ○環境に配慮
<おすすめの会社>
合同会社ステイリンク